目次
多くの経営者が、決算発表の時期になると「今期はいくら利益が出たか(P/L)」を真っ先に確認します。もちろん、売上や利益は事業の「成績表」として重要です。
しかし、銀行の融資担当者があなたの会社を「格付け」する際、P/L以上に穴が開くほど見ている書類があります。それが貸借対照表(B/S:バランスシート)です。
P/Lが「1年間の足跡」なら、B/Sは「創業から今日までの積み上げ」であり、いわば「会社の体質」そのものを表します。本記事では、融資枠を最大化するために、どのようにB/Sを「磨き上げる」べきか、匠の視点で解説します。

なぜ「B/Sがきれいな会社」は融資に強いのか?
銀行員がB/Sを見る最大の理由は、その会社の**「実質的な安全性」**を測るためです。
たとえ今期が黒字でも、B/Sに「換金できない資産」が溜まっていたり、借金が膨らみすぎていたりすれば、銀行は「この会社は体力がなく、一度の逆風で倒れるかもしれない」と判断します。
逆に、B/Sが整っている会社は「自己資本比率」が高まり、銀行内部のスコアリング(格付け)が向上します。格付けが上がれば、融資の限度額が広がり、金利も下がるという好循環が生まれるのです。
【資産の部】融資を妨げる「ゴミ資産」を排除せよ
B/Sの左側(資産の部)には、会社が持っている財産が並びます。ここを磨くポイントは、「実態のない資産」を削ぎ落とし、資産の鮮度を保つことです。
銀行員は、決算書に載っている金額をそのまま信じるわけではありません。彼らは「実価(実際にいくらで売れるか)」で引き直して計算します。
① 不良在庫・滞留債権の整理
「いつか売れるはず」と眠っている在庫や、回収の目処が立たない売掛金は、銀行から見れば資産ではなく「損失の先送り」です。これらを定期的に除却・貸倒処理し、B/Sを筋肉質に保つことが信頼への第一歩です。
② 役員貸付金(社長への貸付)の解消
これは中小企業のB/Sにおける「最大の毒」です。社長が会社からお金を借りている状態は、銀行から見れば「貸したお金が事業に使われず、社長のプライベートに流れている」という公私混同の象徴です。これが数百万、数千万単位で計上されていると、それだけで融資がストップする原因になります。
【負債・純資産の部】自己資本を厚く見せる戦略
B/Sの右側は、お金をどこから持ってきたか(調達源泉)を示します。ここを磨くポイントは、「返済義務のないお金(自己資本)」の比率を高めることです。
自己資本比率30%を目指す
一般的に、自己資本比率が30%を超えてくると、銀行の格付けはグッと良くなります。そのためには、前回の記事(節税と納税の黄金比)で述べた通り、しっかり納税して内部留保を積み上げることが王道です。
「役員借入金」は銀行が見れば「資本」になる
社長が会社にお金を貸している「役員借入金」は、帳簿上は「負債」ですが、銀行の格付け審査では「実質的な自己資本」としてプラス評価されるケースが多いです。なぜなら、社長が会社に貸したお金を急に返すよう迫ることは考えにくく、返済優先順位が低いためです。 こうした「プラスの評価ポイント」を正しく銀行に説明することも、匠の技術の一つです。
資産効率(ROA)を意識した経営
B/Sを磨くとは、単に資産を減らすことではなく、「持っている資産でどれだけ利益を生んでいるか」という効率性を高めることです。
- 使っていない遊休資産(不動産、車両、ゴルフ会員権など)はないか?
- その資産を売却して借入を返済すれば、自己資本比率はどう変わるか?
無駄な資産をスリム化し、キャッシュ(現預金)に変える。あるいは、利益を生む設備へ投資し直す。この「資産の入れ替え」によってB/Sが磨かれ、銀行が「この会社は投資効率が非常に高い」と評価するようになります。
まとめ:B/Sは「経営者の美学」を映す鏡
貸借対照表(B/S)をきれいに保つことは、短期間でできることではありません。数年、十数年という月日の中で、無駄を削ぎ落とし、誠実に利益を積み上げてきた結果がB/Sに現れます。
銀行員は、B/Sの数字の並びから、あなたの経営に対する誠実さと緻密さを読み取ります。
- 実態のない資産(不良在庫・役員貸付金)を整理する
- 利益を内部留保として積み上げ、自己資本を厚くする
- 資産の効率性を高め、キャッシュを回す体質を作る
これらを実践すれば、あなたの会社は銀行にとって「何があっても支えたい、盤石なパートナー」へと進化するはずです。
「うちのB/S、銀行からどう見られている?」と不安を感じたら
「財務の匠」では、あなたの会社の決算書を「銀行員の目線」で徹底分析するB/S健康診断を実施しています。 役員貸付金の解消方法や、自己資本比率を劇的に改善するための資本政策など、一歩先の財務戦略をご提案します。
「融資を受けやすい体質」へ生まれ変わりたい経営者様、まずは私たちの無料カウンセリングから始めてみませんか?あなたの会社の潜在能力を、B/Sの磨き上げによって解き放ちます。

無料ご相談はこちら